「建物の一生」で考える住宅の長寿命化

こんにちは。
練馬区の外壁塗装・屋根工事専門店「住まいるペイント」代表の堺俊之です。
国土交通省は2026年10月1日、「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」の開催を発表しました。
発表によると、2026年7月に成立した改正建築物省エネ法により「建築物ライフサイクルカーボン評価制度」が創設されました。大規模事務所に関する届出制度などについて、2028年度の開始を目指し、統一的な算定ルールなどの検討が進められています。
ライフサイクルカーボン(LCCO2)とは、建物を使用している間のエネルギーだけでなく、建物の計画から解体まで、その「一生を通じて排出されるCO2」を捉える考え方です。
結論から申し上げますと、建物を環境面から考えるとき、住宅所有者にとって大切なのは「新しい材料へ早く交換すること」や「高耐久をうたう塗料を選ぶこと」だけではありません。
今ある建物の状態をしっかり診断し、残せる部分を守り、不具合の原因に合った補修を行って建物をできるだけ長く使うこと。これこそが、外装リフォームで最初に考えるべきポイントです。
ただし、「外壁を塗装すれば、それだけで二酸化炭素(CO2)の排出量が減る」と断定することはできません。材料の製造、運搬、施工、使用中の維持管理、将来の改修や解体まで、一定のルールで確認する必要があるからです。
対象範囲についての注意点
今回の国土交通省の発表で示されているのは、あくまで「大規模事務所の届出制度等」です。
一般の戸建て住宅や通常の屋根・外壁塗装に、2028年度から計算・届出義務が生じるわけではありません。
また、検討会資料や議事要旨の公表状況を踏まえても、戸建て住宅の改修へ将来どこまで影響するかは、現時点では慎重に見極める必要があります。
住宅所有者が注目したいのは「制度の対象」より「建物を見る時間軸」
今回の制度を、そのまま戸建て住宅の外壁塗装へ当てはめることはできません。
それでも私が注目しているのは、建物を新築時や一回の工事だけで評価するのではなく、計画から改修、解体まで長い時間軸で見ようとしている点です。
外壁塗装もまったく同じです。
工事直後の見た目だけを整えるのではなく、「下地をどこまで守れるか」「雨水の浸入を防げるか」「次の改修まで建物を健全に保てるか」まで考える必要があります。
「環境のため」と傷んでいない部材まで交換するのが正解とは限らない
新しい材料の製造・運搬、既存材料の撤去・処分などで不要な負荷がかかる場合があります。
必要な補修の先送りも危険
雨水の浸入によって下地や構造部分まで傷ませてしまうと、将来的に大規模な工事が必要になり、費用も環境負荷も大きくなってしまいます。
早く工事すればよいのでも、長く待てばよいのでもありません。
「建物の状態に合わせた時期と工事範囲を見極めること」が最も大切です。
塗装・補修・カバー工法…どれが一番環境に良い?
「塗装とカバー工法では、どちらが環境に良いですか?」と聞かれることがありますが、建物を確認せずに一律の答えを出すことはできません。
- 既存の外壁材や屋根材が、あと何年使える状態か
- 表面だけでなく、下地まで傷んでいないか
- 雨漏りや結露など、別の原因が隠れていないか
- 部分補修で機能を回復できるか
- 塗装しても、すぐ別の工事が必要にならないか
- 新しく使用する材料の量と、将来の維持管理をどう考えるか
塗膜の劣化が中心で下地が健全であれば、必要な下地処理をして塗装で保護できます。
一方で、下地の腐食や広範囲の浮き、雨水の浸入経路などが残ったままでは、表面を塗るだけで原因を解決することはできません。状態によっては、部分補修、張り替え、カバー工法、葺き替え、あるいは経過観察を選ぶこともあります。
「何年もつか」より先に確認すべき4つのこと
私は、塗装職人、下地・防水工事の職長、木造注文住宅の現場監督、不動産用地仕入れ、リフォーム営業として、約30年にわたり建物に関わってきました。
そのため、自分の家なら「この塗料は何年もちますか?」という質問だけで工事を決めることはしません。
まず、次の4点を確認します。
- 劣化している場所と、その原因は何か
- 既存の下地や部材を、補修して残せるか
- 今行う工事と、まだ待てる工事を分けられるか
- 完成後に隠れる工程を、誰がどのように確認するか
外壁のひび割れひとつを見ても、表面の塗膜だけの問題なのか、シーリングや防水納まりに原因があるのか、下地の動きが関係しているのかで対応は異なります。
診断を行わずにすべてを同じ塗料で覆っても、原因に合っていなければ建物の長寿命化にはつながりません。
住まいるペイントが工事前の事前診断を行い、下地処理を重視しているのはこのためです。
工種に応じた専門職が施工し、現場経験のある社員監督が工程を確認・記録します。
完成すると見えなくなる工程も施工写真と報告書に残すことで、お客様が後からいつでも施工内容を確認できるようにしています。
「環境に良い塗料」という言葉だけで決めないために
塗料や建材には、遮熱性、断熱性、長期耐久性、低臭、低VOCなど、さまざまな機能性を持つ製品があります。
しかし、これらの特徴と「建物のライフサイクル全体で見たCO2排出量」はイコールではありません。
製品単体の性能だけでなく、使用量、施工条件、耐用期間、塗り替え回数、下地との相性、撤去・廃棄まで含めて初めて比較できるからです。
国の制度でも算定ルールの整備が検討されている段階だからこそ、住まいるペイントでは明確な根拠やデータを示さずに「この塗料ならCO2を何%減らせます」といった説明はいたしません。
まず建物を傷めないこと。
必要以上に工事範囲を広げないこと。
そして、行った工事を次の維持管理へしっかりつなげること。
住宅所有者の皆様にとっては、ここから始めるのが最も現実的で価値のあるアプローチだと考えています。
外壁塗装の本来の目的は「建物を長く維持すること」
外壁塗装は、色を変えて見た目をきれいに見せるだけの工事ではありません。
紫外線や雨から外壁を保護し、シーリング、防水、屋根などと合わせて建物への水の浸入を防ぐ重要なメンテナンスです。
だからこそ、「塗る前の診断」と「工事の優先順位付け」が欠かせません。
住まいるペイントが大切にしている「建物の主治医」という考え方については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
▶️ [家を長く守るため建物にも主治医が必要です]
今回のライフサイクルカーボン制度は、戸建て住宅へ直接義務化されるものではありませんが、「建物を完成時だけでなく、一生を通じて考える」という考え方は、今後の住まいの維持管理において非常に重要です。
ご自宅の状態を知り、必要な補修を必要な範囲で行うことから始めてみませんか?
■ よくある質問(Q&A)
Q1. 環境配慮型と表示された塗料を使えば、LCCO2は必ず減りますか?
A1. 製品の表示だけで判断することはできません。製造・運搬・施工・耐用期間・廃棄などを共通の条件で比較する必要があります。算定条件や根拠となるデータが示されていない場合、具体的な削減効果を確認することは難しいため注意が必要です。
Q2. 2028年度から戸建て住宅の外壁塗装にも届出が必要ですか?
A2. 今回の国土交通省の発表は大規模事務所に関する届出制度等を対象としており、一般的な戸建て住宅の外壁塗装に届出義務が生じるという発表ではありません。
Q3. 建物を長く使うなら、工事はできるだけ遅らせた方がよいですか?
A3. 一概には言えません。塗膜の劣化やシーリングの破断などを放置して雨水が下地まで浸入すると、結果として補修範囲や費用が広がってしまうことがあります。専門家による診断で「すぐ必要な工事」と「経過観察できる工事」を分けることが大切です。
Q4. 塗装とカバー工法では、どちらが環境に良いですか?
A4. 建物の状態、既存材があと何年使えるか、使用する材料の量、将来の維持管理計画によって変わります。一律の答えはありませんので、現地で外壁材や屋根材の状態を詳しく確認してから判断します。
Q5. 外壁塗装会社にLCCO2を計算してもらえますか?
A5. 国の統一的な算定ルールは現在制度設計が進められている段階です。正確な数値を示すには膨大なデータと評価範囲の明確化が必要となるため、根拠を示せない概算値を確実な削減効果として扱うことには注意が必要です。
お問い合わせ・店舗情報
外壁や屋根の状態を確認したい方へ
「塗装で維持できるのか」「部分補修で十分か」「カバー工法や張り替えを検討すべきか」など、判断に迷う場合はまず現状を正しく把握することが第一歩です。
住まいるペイントでは、練馬区を中心に中野区・杉並区周辺の外壁、屋根、シーリング、防水のご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
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著者プロフィール

堺 俊之(さかい としゆき)
株式会社住まいるペイント 代表取締役。
外装劣化診断士・窯業サイディング塗替診断士・自然災害鑑定士。
高校卒業後、最初に就いた仕事はメインフレームのCOBOL・C言語のプログラマ。
その後、塗装、電気工事、不動産の用地仕入れ(累計76区画)、注文住宅の現場監督、下地・防水の職長(2年)と、建築と住まいに関わる現場を多面的に歩む。
1995年にサカイ美装として創業後、大規模修繕の現場で下地補修・防水の職長を務め、注文住宅の現場監督、リフォーム営業を経て2019年に法人化。
30歳のとき外傷性くも膜下出血を伴う事故を経験し、練馬区を中心に外壁塗装・防水の「診断ファースト」を実践。
「見えないところを手抜きしない」という仕事観の原点となった。
約30年にわたり、練馬区を中心とした外装リフォームの診断と施工管理に携わる。
建物の声を聞き、症状ではなく原因に処方する「建物の主治医」
メディア・所属
・リフォーム産業新聞に複数回掲載
・練馬区の推奨業者地域最良のおすすめ塗装業者紹介サービス
・「ペイプロ」からの密着取材
・プロタイムズ加盟店〔練馬石神井店〕
参考資料・確認情報
- 国土交通省「第8回 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会を開催します」(公表日:2026年10月1日) https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001362.html
- 国土交通省「建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会」(中間とりまとめ公表日:2026年1月28日/参考資料一部更新:2026年3月27日) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk4_000302.html
- 情報確認日:2026年10月4日(※制度内容が更新された場合は国土交通省の最新発表を優先してください)
最終的には、塗装業者の誠実さで命運を分けます!
建物の塗替えをする際に、何よりも大切なのは、「塗料の機能は、塗装職人の技術による適切な塗装により、建物を長く良い状態に保ってくれる」ということです。
建物の状況によって、最適な塗料は変わります。
” 家の表情が変わると生活が変わる “
塗装の技術力とご提案には、ぜひ一度、練馬区の塗装会社〈住まいるペイント〉にご相談ください。誠実な対応をさせていただきます。